- DIYで電装品をつけてたいけど配線図の見方がわからなくて困っている。
- 電気回路の故障診断をしたいけど配線図が読めない。
- なんとなく故障個所の推定はできているけど根拠を持ちたい
このような疑問をお持ちではないですか?
コンニチハ!
30代半ばで国家1級整備士一発合格。
整備士技術コンクール全国大会3年連続出場。
うち2回は2位を獲得。
整備士歴15年
自分のスキルが人の役に立つ事を夢見て記事を書いている
よろしくメカニッ君と申します。
今回は上に記載した疑問に答えるべく
今回は配線図の見方を図解を使用してわかりやすく解説します。
この記事を読めば、簡単な配線図であれば読める様になります。
家で勉強するための道具の紹介
実際に配線図を読めるようになると本当に回路図どおりに作動するのか検証したくなります。
この記事では「配線図を読む方法」と「家庭内で勉強する方法」も紹介しております。
家庭内で実験するためにはオススメなのが「電脳サーキット」という子供用のおもちゃです。
簡単に回路作成が可能で、万が一間違えて回路をショートをさせても装置内にヒューズが内蔵されているため安全に使用できます。
私は電気の理解を深める為に現在でも使用しています。
自分の勉強用や子供への教育、社内での後輩への指導にも利用できるとても利用価値が高いものです。
配線図の記号
最初にやるべきこと
- 5つの記号を覚える
配線図を読む上で最初に必要となるスキルは記号の意味を理解する事です。
記号の意味がわからないと配線図は読めません。
例えるなら、英語の単語を知らずに英語を話そうとする位無謀な事です。
とは言っても車の電気回路を読む上で最低限必要になる記号は5つです。
「その他の記号」については配線図を見ながら理解する程度で事足ります。
最低限覚えるべき5つの記号
記号名 | 記号 | 備考 |
バッテリ (電源) | いわゆる電源 電気回路の出発地点 線が長い方が+端子 線が短い方が−端子 ※配線図によって様々な記号がある | |
アース | 電気回路の出口 | |
リセス | 配線が結線されている事を示す ※リセスが無い場合は未結線 | |
リレー | コイル側に電流が流れると接点がON コイル側に電流が流れないと接点はOFF ※左の図は接点OFF状態を示す | |
スイッチ | スイッチがONされると接点は閉じる。 ※左の図は接点開状態、すなわちOFF状態を示す |
「バッテリ」、「アース」、「リセス」、「リレー」、「スイッチ」を覚えれば、簡単な回路は読み解く事ができます。
その他の記号(一部抜粋)
記号名 | 記号 | 備考 |
トランジスタ (PNP型) | リレーと似た作動をする。 エミッタからベースへ微電流を流すと エミッタからコレクタへ大電流を流す事が可能 つまり微電流で大電流を制御できる。 | |
トランジスタ (NPN型) | リレーと似た作動をする。 ベースからエミッタへ微電流を流すと コレクタからエミッタへ大電流を流す事が可能 つまり微電流で大電流を制御できる。 | |
ダイオード | 電流の流れる向きを制御する。 アノードからカソードへのみ電流を流す 標識で例えると「一方通行」 | |
発光ダイオード (LED) | いわゆるLED。 作動はダイオードと同じ アノードからカソードへ電流が流れると発光する | |
コンデンサ | 一時的に電気を蓄え放出する(ストロボ等に使用) 電圧を安定させる |
この他にも様々な記号が存在しますが、ほとんどの場合、配線図事態に記号の名称が記載されています。
後で詳細に解説しますが、配線図を読み解くには電源→装置→アースの順に迷路のように辿る事が大切です。
ちなみに装置とは、ヘッドライトバルブやモータなどの事を言い電気回路が成り立った時に作動する物の事です.
- 電源
- アース
- リセス
- リレー
- スイッチ
上に示した「最低限覚えるべき5つの記号」は最低限覚えよう!
配線図の見方
電気回路の基本
まずは電気回路の基本をおさらいしましょう。
下記の記事で「電気回路の基礎」がわかりやすく解説しています。
電気について復習した方はぜひご覧ください。
基本がわかっている方は「電気回路の基本」はとばして、「配線図の見方の手順」から見てください。
配線図の見方の手順
配線図を見る方法はたったの3STEPです。
例えばヘッドライトの回路を読みたい場合、配線図からヘッドライトバルブを探す
ヘッドライトバルブに関連する電源とアースを探す
・【装置→電源】【装置→アース】の順に回路を辿り装置に関連する構成部品を洗い出す
・回路を簡略化する
・迷路をゴールするかのように電源(入口)→装置→アース(出口)の順で辿る
※回路を途中で遮断する装置(リレー等)がある場合は、遮断する装置の電源→装置→アースを辿る
では実際の回路図を用いてヘッドライトの作動を確認してみましょう。
STEP1 任意の装置を探す
まずは回路図の中からヘッドライトバルブを探します。
STEP2 装置に関連する電源とアースを探す
次にヘッドライトの電源(バッテリ)とアースを探します。
この回路図ではアースの表記が先ほど学んだ記号とは異なっています。
車両によって記号が異なる場合もあるので注意が必要です。
これで主要な構成部品(バッテリ、ヘッドライト、アース)は見つける事ができました。
STEP3 回路を簡略化して読み解く
いよいよ回路を読み解いていきます。
STEP3は少し難易度があがりますが、わかりやすく図解を用いて説明していきます。
【装置→電源】【装置→アース】の順に回路を辿り装置に関連する構成部品を洗い出す
まずはヘッドライトに関連する構成部品の洗い出しから行います。
下記の図3を参照して【装置→電源】【装置→アース】の順で辿っていきましょう。
この工程が完了すると電源→装置→アースの回路を簡略化する準備が整います。
構成部品を探すには【装置→電源】【装置→アース】の順で辿ると迷子にならず探しやすい。
①ヘッドライト
②ディマスイッチ
③リレー
④ヒューズ(15A)
⑤メインスイッチ
⑥ヒューズ30A
⑦バッテリ
※名称の前の数字は回路図の番号を表しています。
①ヘッドライト
⑧アース
※名称の前の数字は回路図の番号を表しています。
⑨ECU
※ECUにてヘッドライトリレーの作動をコントロールしている
※名称の前の数字は回路図の番号を表しています。
これで装置を中心に関連する構成部品の洗い出しが完了しました
回路の簡略化と【電源→装置→アース】順で回路を辿る
構成部品を並べて回路を簡略化すると、以下の図4の様になります。
電気の流れ
電気の入口。バッテリ
過電流が流れた際に、ヒューズが切れる事により回路を遮断する安全装置。
メインスイッチは図1で示した通り
ON状態ではすべての分岐が繋がり下流に電気を流す。
OFF状態ではすべての分岐が遮断されて下流に電気を流さない。
回路図の記号は表記方法が様々です。
少しづつ慣れていきましょう
過電流が流れた際に、ヒューズが切れる事により回路を遮断する安全装置。
リレーの作動は
①メインスイッチがONになると、ECUに電圧が印加される
②リレーコイルアース側のECU内部の接点がONになる。
③リレーのコイルに電流が流れる
④リレーの接点がONする
※リレーの作動詳細を知りたい方はこちらの記事が参考になります。
ディマスイッチの作動は
図2のように、「HI」状態では真ん中と左が接続され、「LO」状態では真ん中と右が接続されます。
ディマスイッチの「HI」「LO」切り替えによりヘッドライトバルブの「HIビーム」「LOビーム」回路が切り替わる。
回路の結合状態示す記号。
リセス表記が無く回路が交差している場合は、結合していない。
ボディアースを経由してバッテリのマイナス端子へ接続され、回路が成立してヘッドライトが点灯する。
家庭で簡単にできる回路図の勉強方法
家庭簡単に電気の勉強をするには「電脳サーキット」を使用することです。
電脳サーキットについてこちらの記事で詳しく解説しています。
ヘッドライトの回路(図4)を実際に作成してみた
図4の回路をもとに実際に作成します。
<スイッチの条件>
・メインスイッチOFF
・ディマスイッチHI
<スイッチの条件>
・メインスイッチOFF
・ディマスイッチ(LO)
<スイッチの条件>
・メインスイッチON
・ディマスイッチ(HI)
<スイッチの条件>
・メインスイッチON
・ディマスイッチLO
まとめ
今回は、配線図の見方について解説を行いました。
STEP1「最低限の配線図の記号を覚える」、STEP2「装置の電源とアースを探す」までは比較的簡単にできると思います。
STEP3「回路を簡略化して読み解く」については、様々な回路図を繰り返し読み解いていく事で徐々に早く正確に読み解く事ができる様になってきます。繰り返し「回路の簡略化」と「読み解く」事を練習しましょう。
この記事を応用すれば比較的簡単な回路であれば他の回路図でも読み解く事で故障診断に参考になったり、DIYで電装を装着したりする事が可能です。
回路図が読める様になって楽しいDIYライフを過ごしください。
もっとこんな記事を書いてほしい等のご要望があれば、ぜひコメントください。
お待ちしております。